時間の経過
今更ながら、アルカディアにおける時間の経過が気になってしまった。
というのも、セレスティアはトロワの元育成地であるエレミアであるから、本来はなにもない土地だったはず。
けれど、エトワールにて繁華街となっている。
それなら少なくともエレミアにおいては数年~数十年は経過しているはず。
なんだけど、トロワ→エトワールの主軸にて時間の経過はほぼない計算となっている。
それは、ヴィクトールやエルンストなどのキャラクターの年齢が大幅に上昇してしまうことと同時に、メルやティムカなどの年下キャラが同年代から先輩キャラになってしまうことを防ぐ目的である。
トロワで教官協力者3年という年を重ねたのは、それだけ聖地と下界の違いをわからせるのもあるだろうが、新キャラのいないトロワにてキャラクターの成長を感じさせるのが目的であったであろうと思われる。
そう考えると、今更ながら天レク→トロワを経過時間0にして、トロワ→エトワールで3年経過した方がより自然に感じる。
エトワールの設定それ自体が「攻略キャラクターを失わず」というコンセプトだったはずで、それを軸にしてしまうとすべてはほぼ後付け設定になってしまったのだと思う。
天レク時においてトロワ構想があったように思われるが、トロワ制作時に果たしてエトワールの構想があったのかどうか…。
どうしても設定だけ見ると、エトワールはゴリ押しを通り越して無理矢理延命している気がしてならない。
アブナイ★恋の捜査室
久し振りにゲームを購入しました。
『アブナイ★恋の捜査室』
元が携帯アプリとのことで、選択肢を選ぶだけの完全なるテキストゲーム。
PSP版は1stと2ndシーズンを収録していて、どちらも全員をクリアすると事件の真相にたどり着ける仕様になっている。
基本的に同僚4人→小野瀬→穂積(→2ndのみ藤守兄)で解決するので、同僚たちは各人の見方が違うだけでほぼ重要度は同じくらい。
真相に迫る小野瀬・穂積√がの方が重要度が高く、シナリオの面白味が強い。
藤守兄は隠しキャラ√というかおまけ√というか、これは別シナリオと捉えた方がいいかも。面白くても横のつながりはない。
恋愛面ではラブコメなので捜査室紅一点のハーレムで可愛がられているという二次元的設定で、軽く読めるテキストだからこれはこれでいいと思う。
それより、証拠品のエロ本を喜んでいるようなメンツの男子校のようなノリの方が読んでいて楽しかった。
恋愛描写は特に優れているとは思わなかったけれど(甘い雰囲気ではあるので、悪くはない)個人的にはキャラの描写の方が良かった。
キャラの造形は「オネエ口調だが暴君の上司」「ドSな分析官」など欠点も魅力的な二次元仕様なのだが、キャラクターを対比させることによって浮かび上がるような側面があったのが好きだった。
例えば、同期の小野瀬・穂積だが、物わかりのよい小野瀬は「自分は捨てたくせに新しく作った家族は大切にする母親も、息子がいるのに若い女を引き入れた父親も嫌い」と穂積に切って捨てられる。
小野瀬は家族のことは話さないと前に言っているので、ここで「穂積には心を許している」また「穂積は小野瀬のことを理解している」と同時に示されている。
また、小野瀬は完璧な男で誰から見ても憧れるスマートさを持っているのだが、藤守からすると「できる男は違うね」になるけれど、明智にしたら煙たい存在として描かれる。
恐らく、明智は嫉妬できる、つまり小野瀬に近いスペックがあるので嫉妬できる範疇にあることを示している。小野瀬に嫉妬するのは明智くらいなので、他キャラは肩を並べられないのだと思う。
ちなみに、穂積は小野瀬に嫉妬することはない。多分、個人の方向性の違いだろう。
あと、藤守兄弟の描写だが、基本的にできる兄(残念なことが多いが)と面倒見の良い弟で構成されていて、それほど意外性はない。
けれど、個人的にこれは!と思ったのが、豪華版の特典CDの一コマで、帰郷する際母親から電話があって深夜に着くから夕飯はいらんという弟に対し、兄は食べるという。
しかも、カレーと刺身(笑)。
しかし、その理由が「多分、刺身は夕方には買ってある」というもの。
弟は深夜に帰宅するから手間かけたら悪いと思って夕飯はいらんという返答になるんだけど、兄は母は息子の帰りを楽しみにしてカレーを作り、よい刺身があったから買っている。だから食べるという選択をするんだよね。この辺の心理描写は見事だと思った。
このゲームを購入した決めてが藤守兄の声が成田さんだったからなんですが、この役が残念なイケメンだったので「レヴィアスのパラレルっぽいかも」と思ったというかなり不純な動機(笑)。
結果として、あまりレヴィアスっぽくはなかったのですが、コメディリリーフとしての役割も面白くてよかった。
ハイスペックを誇る検察官だけど実はオタクで「女に告られるけどすぐ振られる」という残念系なんだけど、難をいうなら、あと少しハイスペックな男の面が見られたら良かったな。お洒落なレストランに誘ったり、高そうなシャンパンを呑ませてくれたり、コートをかけてくれたりしてはいるんだけどね。
恋愛ゲームって学園ものやアイドルものが多いから、案外社会人ものって少ない気がするのだが、個人的には前者に食指が動かないので、こういうタイプが好き。
Backlushもそうだったけど、ヒロイン社会人で攻略キャラの人間関係が緻密に描かれるようなゲームをもっとしてみたいかも。
残念ながら、アブ恋の3rdシーズンはVitaでのみ発売されていて、シナリオの内容はそう悪くないみたいだが、なんせ3rdシーズンのみ収録で短いみたい。
それに藤守兄は攻略対象外となり、出番もほとんどないみたい。特典CDにも出てないもんね。ホントに残念。
尚、さすがに数年前に発売されたものだし、小さくまとまっているタイプのゲームなので、二次創作はほとんどなかった。
これも残念でした。
フルリメイクの功罪
前情報で期待値が高かっただけに、アンジェの新作の情報はなくて、正直とても残念な気持ちです。
下馬評では遙か4とルトゥール2が多かったように思いますが、蓋を開けてみればコルダでした。
安定のコルダ、というところでしょうか。
ネオロマライブの”アンジェリーク&ネオアンジェリーク&下天”がネオロマの「遙か」と「コルダ」と「その他」という分類になっているように思う。
オトメイト製作で既に発表されていたネオアンは発売日くらいしか発表はなくて、事実上その他に分類されたブランドからは新情報はなかった。
フルリメイクというのが難しかった、と今になって思う。
野茂がいなかったらメジャーリーグで活躍する日本人はいなかったかもしれないから、最初の一歩はとても大切なことだ。
ここで躓いてしまう人間は決して少なくない。
ルトゥールも評判がそこそこあっただけに、その後の展開のなさにあれは間違いだったのだろうか?とすら考えてしまう。
少なくとも制作サイドでは「成功ではない」と判じていると思われる。
失敗ではなく「成功ではない」。
この辺の考え方は微妙だ。
やはりルトゥールはフルリメイクということもあってシステム関係やヴィジュアルも一から作り直しているからコストがかかった。
その割に、敢えてキャラデザ変更したおかげで新規獲得<古参の流出(出戻らなかった層も含めて)してしまったために、予想以上の売り上げには届かなかった。
遙かとコルダのリメイクがフルリメイクでないところを見れば、アンジェリークが古いゲームとはいえ、フルリメイクの賭けが大きかったことがわかる。
個人的にここで少し諦めがついた。
好きな人には申し訳ないのだが、私はルトゥール絵は苦手な部類なんです。
嫌いではないんだけど、絵が上手いとも萌えとも感じないから。
絵は本当に個人差があるので、あくまでも自分基準で。
実は、SP2のフルリメイクにおいては迷いがあったのはそこ。
決まれば喜ぶのだけど、由羅カイリデザインでないコレットを愛せるか、というのは常々感じていた。
ないなら、ないでいい。
私の大切な思い出はPS2と共にある。
それでいいように思えてきた。
天レクもトロワもすごく好きなソフトで、あれをいじられるくらいなら、なにもない方がマシだと思える。
SP2のリメイクを願う人の水を差すわけではないけれど、もう天に願うのにも疲れたし、思い出だけでいいように心底思えるようになってきた。
特殊な立ち位置
トロワはアリオス救済ゲームというのを目にして、そのときはそうかな?くらいにしか思わなかったのですが、よくよく考えてみるとそうかもしれない。
「トロワが」というよりも「アリオスから見たら」という条件ですが。
というのも、ルトゥールでブライアンが出て双子と一緒に今回限りのキャラだよな、と思っていたんですが、好きな方は「ルトゥール2があるなら是非ブライアンを!」と書いてあって、なるほど好きならそう願うよね、と思ったわけです。
しかし、アリオスだって本来のアンジェリークの世界にはいなかった人で、どう考えても天レク限りであったはずのキャラだった。
元から天レクがアンジェリークシリーズのスピンオフだったはずだし。
逆にそのアリオスをよくトロワで出したな、と今更ながら感動する。
しかも、アリオスは隠しキャラとあって、トロワの根幹にはまったく関係ない。
つまりは、アリオスはアンジェリークを構成する要素ではない。
けれど、彼がそこにいるのはむしろ、天レクで語ることのなかったアリオスから見た世界をトロワで補完しているためと思われる。
かつての故郷のこと、部下たち、信念について。
あとのきは拳で語り合ったとは言い難く、アリオスからの一方的な行為でコレット一行が受け止めたことは少ない。
でも、アリオス自身あの旅の最中とても揺れていたのは、トロワになってはじめて明かされるのだ。
最後に「エリスに似てない部分に惚れた」となるから、エリスとコレットとの間で揺れていた葛藤がそこで終止符が打たれ、彼はコレットを選択した。
エリスと同じ自決という選択をしたアリオスは、最終的に死を選択したエリスよりも、ともに生きることを望んだコレットの手を取った。
ここで過不足なくアリオスからの気持ちが語り尽され、彼の物語は完結している。
で、ちょっと思ったのは、エトワールでのアリオスの立ち位置は他キャラと相違ない。
つまりは聖獣の宇宙の構成する一員である。
だから、エンジュとの恋愛については、どのキャラもいい意味では平等であり、悪い意味では差異がなく面白味がなくなっている。
アリオスというキャラが特殊な立ち位置であったからこそ輝いていたんだと思う。
みなと同じ立場なら脇役と一緒。
コレットとの恋が完結しているから、エンジュとのはじまりがあまりにも普通すぎて、個人的にはとても魅力的には思えないのだ。
エトワール改
そんな意見をちょこちょこ目にしたことがある。
私も女王となったコレットを動かしてみたいな、と思ったことは何度もある。
あのエトワの衣装が好きなので、特にそう思ったのかも。
でも、仮にリメイクされるとしても、エンジュがヒロインなのは絶対に変わらない。
これは「たとえ事件が冤罪だったとしても蒸し返すことはしない」警察方式だと思うので、フルリメイクとはいえ、全体を書き換えることはしないだろう。
で、先日Twitterでも書いたのだが、「忠誠心」なる隠しパラメーターを導入するとリモージュ・コレット固定CPも満足できるのではないか、と思った。
というのも、各攻略キャラを早々に出現させない場合、または、出現後放置期間が長い場合、それに応じて神鳥ならリモージュ、聖獣ならコレットへの忠誠心が高まりエンジュと恋愛が困難→恋愛不可となっていくシステム。
キャラクターによって忠誠心の上昇率は異なり、設定として女王に忠実なジュリアスやオスカーなどは上昇速度が早く、女王守護聖制度を嫌っているクラヴィスやゼフェルなどは低い。
だから、目当てのキャラはできるだけ早く出現させ、更に常にコンタクトを取る必要がある。
けれど、そうすればエンジュも好きなキャラとは結ばれるし、逆にリモージュには〇〇、コレットには〇〇と決まっているキャラがいるなら、それは放置すれば妄想上の中では「〇〇は女王を愛しているんだ(忠義を尽くしているんだ)」って自己設定できる。
リモージュ・コレットはライバルキャラではないけれど、事実上のライバルキャラとなり、しかし、忠誠心だから必ずしも恋愛にならないから女王の定義にも反しない。
これならヒロイン好きな人にはウケると思うんだけど。
白い翼のメモワールの意図
アリコレOVAといわれているが、今ひとつ好きになれないのが『白い翼のメモワール』。
話の内容とか、キャラクターとか語るその前に、圧倒的に尺が足りないというお粗末さ。
結局、ストーリーの骨組みだけのアニメーションになっているので、肉付け部分がないから入り込めない。
細かいことをいえば、コレットにとはいえ、跪くアリオスという構図が個人的にはいただけない。
創作されたものはなんでもそうだけど、キャラクターを動かしているのは作者なのだが、それを感じさせずキャラが己の意思で動いたと思わせるのが一流な作品なんだろう。
白い翼のメモワールにはそれがない。
逐一作者の影がチラチラと見え、少ない尺をとにかく全キャラ出すことに全力を注いでる感じだ。
そして、白い翼のメモワールの場合、キャラクターの言動が作者に「やらされた感」が半端ないのだ。
たとえば、「争いはやめて!」とアリオスを庇うコレットに加勢するマルセル。
彼が「一緒に逃げよう!」とふたりに提案する。
でも、考えたらマルセルってそんなキャラじゃない。むしろ、ゼフェルやランディあたりが逃げよう!として「そんなことしてはダメだよ」っと窘める性格だ。
つまりはアリオスとコレットだけだとふたりの逃避行=アリコレのためのメモワールになるからきっかけをマルセルに与えただけだと思う。
では、なぜマルセルが選ばれたのか。
中堅組、年長組は軽率には動かせないし、アリオスと対峙していたランディも物理的に不可、ゼフェルか迷うところだが「争いはやめて」の部分でマルセルに白羽の矢が立ったのだろう。
でも、やっぱり変だよ。
アリオスEDアニメーションを流している関係上、アリオスとコレットの逃避行ならまだ話はわかるが、マルセルに必要性を感じない。
それに、逃避行後アリオスがレヴィアス変化するまでの間は、マルセルはほとんど空気。
過去の思い出の土地を訪ねることで、アリオスの記憶を蘇らせるという作者の意図が丸見えで、コレットの逃避行の選択さえもなんだか胡散臭くなっている。
トロワ前哨戦のストーリーとなっているが、なくても全然OK。
確かに、なぜ約束の地にアリオスが突如わいてくるのかは疑問だが、謎の力に飛ばされたコレット一行を思えば、転生したアリオスがいても不思議ではない。
それよりも、過去を取り戻したのにも関わらず、またしても記憶喪失を患っているアリオスの方が不可解だと思う。
最初から聞くと
Twitterの方でも書いたのだけど、CD「LOVE CALL」のドラマPromise nightについて。
いつもアリオスが登場するシーン中心に聞いていることが多くて、それほど今までと印象は変わらないのだが、先日ふと最初から聞き直したとき、あれ?と思ったことがあった。
話の流れとしてはトロワ後、リモージュ女王より休日を与えられた守護聖たちはある惑星に来ていた。
久し振りのゆっくりした休暇の最中、突然聖地にいるリモロザコレレイが来ることになって…という話。
リモージュを唆したのがセイランとわかって、リュミエールが諫めるのです。
セイランはこの星の祭りは素敵だからと相手を煽るような文面をしたためているのだが、実際は聖地から女王が勝手に出てくるのが問題であって、セイランの責任ではないと思う。
しかし、リュミエールは勝手に自分の気持ちを踏みにじられたことを一方的に静かに怒っている。
確かにセイランの狙いは当たって、(トロワ設定なのでヒロインはコレットだからコレット狙いとなっている)リモージュに働きかけることによりコレットをおびき寄せることに成功しているのだが、ハッキリと彼の思惑がわかるわけではない。
それはセイランがコレット狙いだとユーザーが勝手に想定しているだけで、その証拠はない。
けれど、リュミエールは半ば確信している。
恐らく彼は女王という名誉のために自分の恋心を封じ、アルカディアにて永遠の別離を受け入れたのに、なぜここに彼女を呼ぶのか?
寝た子を起こす行為をするのか、そういうことに怒っているんだと思う。
リュミエールは逢えない環境にあり、自分の恋より相手の名誉を重んじたってことは、彼の懸想しているのはコレットということになる。
私は当初、女王という名誉を重んじてと感じられたのでリモージュでもコレットでもどちらでも考えられると思っていたのだが、別離を受け入れたのに、どうしてまた会えるようにするのだ、と怒っているように思えて考えを改めた。
実は、当初リュミエールは自分の気持ちもそうだけど、クラヴィスの気持ちを配慮してとも思ったのだけど、肝心のクラヴィスはその後恋の橋渡し役に徹しているので、その線はない。
それに、リュミエールはクラヴィスの恋愛事情(255代女王との失恋を含めて)を知らないと思うんだよね。
少なくとも当時聖地にいなかったから、失恋の件は知らないだろう。
やっぱり自分の秘めた恋心を踏みにじられたような気がして、諫める形で怒りを表していたんだと思う。
リュミエールが自分の感情を相手にはっきり示すのは珍しい。
彼は誰よりも周囲を優先して、自分の感情を押し殺す傾向にある。
それをセイランに「わかりあえない」としているところを見ると、ふたりは感受性が強いという設定なので、リュミエールもセイランも互いにコレットへの恋心を知っていた可能性はある。
芸術を嗜むもの同士が牽制しあって、それをはっきりとは告げないけれど、なんとなく理解している。
なんだか不思議な関係であると同時に、器用でありながら肝心な部分で不器用な彼らの生き方を表していると思う。