母を求む
アリオスの女性のタイプというのが、わからない。
たぶん、ないんだろうなって思う。
彼は結局のところ、性欲以外に女性を求めていない。
むしろ、女性不信なタイプだから。
彼がエリスを愛したのは、レヴィアスという人の強さも弱さもひっくるめてすべてを受け入れてくれたからだと思う。
それまで、きっと彼はすべてを曝け出すようなことはなかった。
自身で意識していたかはわからないが、求められたレヴィアスという人格を、それぞれの場面で出していて、それが嫌で酒飲んで憂さを晴らしていたんじゃないのかな?
アリオスがエリスを求めたのは、死ぬことを選択せざるを得なかった結果、彼女を不幸にしてしまった後悔と、彼女の死により自身の幸せを壊されてしまったことに対する復讐。
それと、意地なんだと思う(笑)。
もちろん、根底には愛があるんだけど、絶対生き返す!って思ってるあたり、意地になって頑張っている感があるのよね。
コレットが好きになっても、いやいやエリスを生き返らすんだって意地張っているようにしか思えないもの。
ちょっと話が逸れてしまった。
つまり、エリスの役割ってレヴィアスにとって(母)親だったのかと。
人間は認証されたい欲求があるけれど、レヴィアスはそれをずっとできなかった。
皇子としても認められず、人として求められず。
かといって、皇太子になる望みがないわけでもない。
本体なら誰よりも皇帝に近い血筋で、血筋自体に劣りはない。
けれど、クーデターでひっくり返されてしまって、不遇の生活。
一縷の望みを捨てきれない両親だが、当然諦めムードで彼のことなどおかまいなし。
だから、彼はずっと認証されてなかった。
本当なら皇族になんの未練もないけれど、そこから飛び出すことのできない弱さを持つレヴィアス。
それをまるごと包み込んでくれたエリス。
はじめての経験だったんじゃないかな。
そういう意味では、コレットもまた彼をそのまま受け入れたのだと思う。
彼の過去も強さも弱さも、裏切りもすべて含めて、アリオスを選ぶという選択をしたわけでしょうから。
人間誰しも自分の都合の悪いところは受け入れ難いわけで、それをしてしまうところが彼の言う”馬鹿なところ”で、でも、それは本当に強くないとできないとわかっている。
理解しているからこそ、その強さに憧れていたという彼の台詞はとても重い。
私は宇宙の女王は慈愛にあふれた人物だと思って創作しているので、コレット(リモージュ)は母性が強いタイプにしています。
自分をまるごと包んでくれる安心感は他には絶対得られない。
だから、アリオスがどんなに他の女から求められても、決してコレットから離れないのはそういうわけなんだと思っている。