暗喩と間接的表現
私が暗喩というかキャラクターの象徴物を強く意識したのは、まだSFCだったFF6のエンディングロールでのこと。
そこには各キャラの好きなもの、象徴するようなものが現れてから、崩壊する世界からの脱出風景が語られている。
ガウならお宝の金のヘルメットだし、シャドウならリンゴに突き刺さった手裏剣、リルムなら絵筆、セッツァーならトランプ、フィガロ兄弟なら彼らの運命を決めたコイン等々。
しかし、見て即座に理解できなかったのが、ふたつある。
ひとつは、ティナのカクテルグラス。
カクテルグラスはふたつあって、その上に細いネックレスが橋渡しになっているんだけど、思い返してもそれが物語上になかった。
で、これは今後の彼女の暗喩なんだと気づいた。
幻獣のハーフである彼女は、記憶や感情を失っていたが、仲間たちや子供たちにふれあう内に、徐々にそれを取り戻していく。
相容れないはずの幻獣と人間との子供である彼女が、今後崩壊した世界で幻獣界と人間界との橋渡しとなり、彼女は絶対的に必要な存在になる、そういう意味だと理解した。
次に、不可解だったのはロックとセリスの薔薇の花束。
しかし、これはティナほど頭をひねらなかった。
これもまた物語には出てこないんだけど(設定としてセリスは薔薇を大事にしているのはあるが、ゲームには絡んでこない)、ふたりして花束なら結婚の暗喩だと。
結婚かどうかは置いておくとして、そう遠くない未来に、ふたりが結ばれることを示しているようでならない。
ロック不在だとどうなるかは見てないから想像なんだけど(ロックはいなくてもクリアできる)、エンディングに彼がいない場合はセッツァーがその役目になる。けれど、彼の象徴物はトランプだから、薔薇はセリスだけのものってことになるのかな。セリスの宝物は薔薇だから、話としても通るし。
だからこそ、ふたりしての花束の意味に深いものを感じていたの。
で、そんなことを友達に話したら、半ば白目で「そんなこと考えたことない」と言われましたっけ。
先日も「白い翼はヒロインの暗喩だから」と言って、友達にやや引かれたのも記憶に新しい。
どうも私はこの手の自己流な解釈をしてしまうんだよね。
それと、私は直接的な描写よりも間接的な描写が好きです。
それがわかったのは、FF6の頃よりもずっと後のことですが、そういう文面に出会うと、いいなと心から思う。
名を明かす、肌をさらす、ということが今よりハードルが高かった時代の、なんとも美しいシーン。
大塚ひかりさんが「性愛のシーン」と書いてあったのが、まさにそう。
ただ、ネックレスとか外すだけで、子供ができるので性愛の暗喩には違いない。
直接ヤった、というよりも、幻想的で好き。
あとは、変身物語のハデスとペルセポネの話。
ハデスが彼女を冥界に攫っていく場面で、「ペルセポネの前掛けが破れてしまって、せっかく集めた花を失ってしまったことに、彼女はひどく悲しんだ。なんとも無垢な乙女の心よ」とある。
つまり、服が破れる=破瓜、けれど、それに気づかない無垢な心(純潔)を意味しているわけだから、非常にうまく描かれている。
また、ペルセポネの母親のデメテルが、彼女が攫われた近くで、ペルセポネの帯を見つけて泣くんだけど、帯がない=純潔ではないという意味だから、既に彼女は乙女でなくなっているんだよね。
私もこういうシーン書きたいんだけど、そこまでの技術がなくて、なんだかグタグタになることが多い。
直接表現ないのにエロい!って話は本当に憧れる。