ライバルという存在
当初はライバルと四苦八苦しながら試験をこなす物語だったのが、いつの間にかライバル不在のゲームになったアンジェリーク。
ライバルがいなくなった頃に発売された遙かシリーズもライバル不在だから、ゲームのシステム上不要だと判断したんだろう。
要はライバルいるとゲームがしんどいから、制作サイドが作らなかったんだろうなぁ。
でも、ライバルいないとダレるんだよね。
私はトロワみたいな作業でも苦にならないタイプだからいいけど、サクサクやりたい人には結構ゲームが長くて苦痛になるかも。
それは作り手の事情なわけで、物語の流れから見てみるとまた違った側面が見えてくる。
というのも、ライバルがいなくなったのは、天レク以降。
つまり、天レク・トロワ・エトワール。
これはみんな宇宙の危機を舞台にしている。
SP1も実は宇宙の崩壊を含むという重いバックグラウンドを持っているのだが、ゲーム上そこは語られない(ほぼ最後だけか)。
なので、全面的に『宇宙の危機ですよ!』となるのは先の三作。
当然、ライバルと争うどころではなかった。
それに、各人の役割というものもあった。
天レクなら、リモージュ・ロザリアは囚われの身であり、コレット他がその奪還を目指し、最終的に皇帝との決戦になる。
トロワならアルカディアを守るのはリモージュ、育成してエルダを解放するのがコレット。
エトワールは未プレイなので、実はリモージュがどのような働きをしているのかよくわからないのですが、彼女はあくまでも神鳥の女王であるから、そんなに全面的に出ないのが正解だと思う。
コレットについては、幼い宇宙をひとりで抱えているため動けず、育成はエンジュという分担になる。
流れとしては確かにこれが一番おさまりがいいと思える。
次は、物語の構造から。
私はアンジェリークを要約すると「女王(含む候補)と守護聖の物語」だと思っている。
女王になるまでは優等生(お嬢様)・天才VS平凡な少女。
(255代目女王・リモ・コレVSディア・ロザ・レイ)
しかも、普通なら考えられないけれど、平凡な少女が勝利する世界。
だから、どんなに優秀な人材であっても、女王と守護聖以外は二流のキャラとなってしまう。
そう考えると、エトワールはアンジェリーク正編であることは間違いないけれど、構造上はスピンオフ扱いとも思える。
だから、ヒロインの中で、彼女だけライバルがいない。
あくまでも、神鳥におけるロキシーと同じような存在なんじゃないかと。
もちろん、それ以上の逸材だし、なくてはならぬ存在だけど、女王と守護聖からみたらそれくらいの扱いになっても仕方ないのかな、と。
個人的にエンジュにライバルがいないのは残念だった。
男女問わず切磋琢磨して友情を築いていく話が好きなので、そういう人間関係がないのはちと寂しい。
明らかにリモージュとロザリア、コレットとレイチェルは回を重ねるごとに関係が変化している。
そういう側面がとってもうれしいから、彼女にのみそういうことがないのは、残念に思えてしまう。