白い翼のメモワールの意図
アリコレOVAといわれているが、今ひとつ好きになれないのが『白い翼のメモワール』。
話の内容とか、キャラクターとか語るその前に、圧倒的に尺が足りないというお粗末さ。
結局、ストーリーの骨組みだけのアニメーションになっているので、肉付け部分がないから入り込めない。
細かいことをいえば、コレットにとはいえ、跪くアリオスという構図が個人的にはいただけない。
創作されたものはなんでもそうだけど、キャラクターを動かしているのは作者なのだが、それを感じさせずキャラが己の意思で動いたと思わせるのが一流な作品なんだろう。
白い翼のメモワールにはそれがない。
逐一作者の影がチラチラと見え、少ない尺をとにかく全キャラ出すことに全力を注いでる感じだ。
そして、白い翼のメモワールの場合、キャラクターの言動が作者に「やらされた感」が半端ないのだ。
たとえば、「争いはやめて!」とアリオスを庇うコレットに加勢するマルセル。
彼が「一緒に逃げよう!」とふたりに提案する。
でも、考えたらマルセルってそんなキャラじゃない。むしろ、ゼフェルやランディあたりが逃げよう!として「そんなことしてはダメだよ」っと窘める性格だ。
つまりはアリオスとコレットだけだとふたりの逃避行=アリコレのためのメモワールになるからきっかけをマルセルに与えただけだと思う。
では、なぜマルセルが選ばれたのか。
中堅組、年長組は軽率には動かせないし、アリオスと対峙していたランディも物理的に不可、ゼフェルか迷うところだが「争いはやめて」の部分でマルセルに白羽の矢が立ったのだろう。
でも、やっぱり変だよ。
アリオスEDアニメーションを流している関係上、アリオスとコレットの逃避行ならまだ話はわかるが、マルセルに必要性を感じない。
それに、逃避行後アリオスがレヴィアス変化するまでの間は、マルセルはほとんど空気。
過去の思い出の土地を訪ねることで、アリオスの記憶を蘇らせるという作者の意図が丸見えで、コレットの逃避行の選択さえもなんだか胡散臭くなっている。
トロワ前哨戦のストーリーとなっているが、なくても全然OK。
確かに、なぜ約束の地にアリオスが突如わいてくるのかは疑問だが、謎の力に飛ばされたコレット一行を思えば、転生したアリオスがいても不思議ではない。
それよりも、過去を取り戻したのにも関わらず、またしても記憶喪失を患っているアリオスの方が不可解だと思う。