アリコレ館

アンジェリークのアリオス×コレットばかりかと

バチカン奇跡調査官

家にものが多くてなんとかしなくてはと思っていたところ、「全体的にミニマムにしたいけれど、電子書籍ではなく紙媒体がよいという気持ちはわかる。それに本の内容が薄いと思っても、1冊約1500円程度なのでそれほどの損ではない」というような文章を読んでしまい、つい自分に甘い私は古本をぽちり。

好きな本は新刊で速攻手に入れたいけれど、暇つぶしには安価な古本を適当に見繕って買うのが、一番のストレス解消法だったりする。

 

で、今回試に購入してみたのが『バチカン奇跡調査官』のシリーズ。

 

試しだったので、3冊ほど。

基本的に1冊完結なのでどれでもいいらしい。

実はちょっとアニメの方を見てみたらおもしろかったので、原作を読みたくなったのでした。

 

正直な感想は辛口なんですが、ミステリーとしては中途半端な感じでした。

キャラ描写が割と繰り返しあるので、ミステリー<キャラ萌えな作品であると思う。

これは個人差になってしまうが、私は見た中ではキャラにハマらなかったので、ミステリー部分に関心がいってしまうんだけど、残念ながら読了後の爽快感も、結末の意外性もなかった。

犯人だろうと思ったキャラが犯人だし、その動機も想像通りだった。

かといって、本格ミステリーのようなロジックに徹しているわけでもないので、中途半端な感じになってしまったのだろう。

このバチカン奇跡調査官と似たような感覚をおぼえるのは、有栖川有栖の火村英生シリーズなんだけど、あれも一種のキャラ萌えだと思うが、作者が本格ミステリーに凝っているのでミステリー>キャラ萌えになっていると思う。

キャラ萌え作品にありがちなおざなり感はないから惜しいのだけど、ならどうすればいいか、と問われると、もうミステリーの濃度を上げるしかない。

それが一番難しいんだけど。

 

ミステリーといってもそれほどロジックに徹してなくても魅せるタイプの本はたくさんある。

横溝正史江戸川乱歩も本格派としているが、実際それほど凝ってはいない。

でも、伏線の刈り取りとか、キャラクターらしさとか、そういうもので読ませてくれるから、読了感はよかったりする。

京極夏彦は動機を探るのは不要と作中なんども訴えているんだけど、実際読んでみると動機が一番の意外性だったりするんだよね。

そういうなにか一押しがあれば、と思わずにはいられない。

 

ただ、アニメの原作にはちょうどいいかもしれない。

むしろ京極夏彦京極堂シリーズはアニメやドラマには不向きだと思う。(実際、映画はひどかった。アニメはよく頑張っていたけれど、やっぱり原作を読んでいた方が深みを感じる。)

作画もよかったし、テンポよく話が進むから、伏線の刈り取りとか考えずに、話の流れに身を任せて見ているだけでOKみたいな感じで。