アリコレ館

アンジェリークのアリオス×コレットばかりかと

シンボルを継承する

前回、前々回につづき、またしてもウルトラマンネタ。

 

特撮というと一般的に「ウルトラマン」「仮面ライダー」「戦隊ヒーロー」の三本だろう。

彼らは初代からのシンボルを引き継ぎ、それを失わないようにしている。

これには内面も外見も含める。

たとえば、内面ならウルトラマンは「正義とはなにか?」だと思う。決して自分(ウルトラマン)を絶対の正義とは描かない。

その考えはおそらく今でも続いていると思われる(平成ウルトラマンは知らないのですが、たぶんこの考えが初代から通して繰り返されるテーマだと思うので)。

そして、外見もまたウルトラマンから外れない。

何代も重ねてきたシリーズだけど、初代から今までウルトラマンの型を継承している。

多少違っていても外見からしウルトラマンでない、というデザインはないはずだ。

 

この辺は戦隊ヒーローが有利。

彼らは初代ゴレンジャーの「5人色違い」をモチーフにするけれど、仮面とかはある程度自由。

もちろん、顔貌にある程度の規制はあれど、ウルトラマン仮面ライダーほどの縛りはないはず。

けれど、ウルトラマン仮面ライダーは初代をモチーフにすることが基本なので、たまに「これ仮面ライダーか?」みたいなのもチラチラいるらしいけれど、大原則は仮面ライダー1号の形だ。

なら、ウルトラマン仮面ライダーならどちらが厳しいかと問われれば「ウルトラマン」と即答できる。

なぜなら、初代のデザインがシンプルだから。

 

シンプルゆえになにかアイテムを加算する方式というのもあるが、元々ウルトラマン自体が格闘技を主としているので、それもなかなか難しい(平成ウルトラマンは大人の事情でしているけれど、それでも逸脱しないように心掛けているはず)。

昭和はシルバー+レッドしかなくて、平成になってブルーを入れてきたけれど、そうでもしないとデザイン的に無理だったのだろう。

仮面ライダーは言わずと知れたバッタがモチーフなのだが、昭和の時点でストロンガーとかアマゾンとか「バッタ関係なくね?」みたいなデザインもあったけれど、特徴的な目がバッタだから、なんとなく類似しているように思える。

それに色はウルトラマンほど限定していないので、この辺で工夫できる。

 

実のところ、見慣れていない平成ウルトラマンについては、どれも同じに見えるんです。

昔からジャニーズの面々が同じに見えたのと一緒で、興味が薄いから同じに見えてしまう。

ウルトラマンゾフィーとジャックは元から同じデザインだったから仕方ないとしても、セブン、エース、タロウ、レオあたりはデザインを変えてきたな、と感じられる。

ただ80あたりで原点回帰したせいか、デザインが同じように感じてしまう。

ひどい言い方になるけれど、80はモブに思えてしまう。というか、映画でモブとか雑魚とかに交じっても違和感ない。

 

平成作品は色を変えたりしているけれど、それが重なると既視感になって、ますます「どれ見ても一緒」的な感想しか出ない。

初代のイメージを崩さずに目新しさを出すというのが、いかに難しいか。

目新しいデザインだけならなんとかなったかもしれないけれど、それを一見して「ウルトラマン」と認識させなければならないのだから難しい。

 

翼をつけるとか、剣を装備とか、もうこの辺を加えると特撮に限らずあらゆる他作品で披露されているので、既視感しかない。

 

ちょっと話は逸れるけれど、聖闘士星矢黄金聖闘士が主役の「黄金魂」というアニメーションが近年作られて、黄金聖衣がバージョンアップするのだけど、翼とかただ余計なものがついただけで、当初のデザインの方がずっとずっと優れている。

黄金聖闘士以降の聖衣は黄金聖衣の焼き回しだから、いかに黄金聖衣がデザイン的に完成されていたかを考えさせられた。

いろいろくっつければいいってもんじゃない。

 

ウルトラマンの問題は加えることの匙加減と、イメージ存続の難しさをよく表している。