設定の匙加減
かねてより私はアリコレについては設定の勝利だと思っている。
無論、アリオスのキャラクターはとても魅力的だし、キャラデザも文句なくかっこいいのだが、アリコレという組み合わせが最高だと思っているのだ。
まず、冷静沈着を通り越して冷酷なレヴィアスがコレットに近づく算段が「エリスの器の資格を持つコレット」というのがうまい。
リーダー自ら諜報活動とは思いつつも、それを部下に譲れない仕組みを作っている。
(ほかにも魔導など理屈はあるものの、これ以上のものはない。)
そして、エリスとの疑似恋愛に似たイベントを経てコレットへの愛情に変わっていく。
親密度イベントではちょいちょいエリスを回想する節が見え隠れするので、そう思っても不自然さはない。
それに、これはとても自然な感情の流れだと思う。
また、エリスの器の設定がいかにも厨二病っぽいのだが、これを難病でお金さえあればスーパードクターに執刀してもらえ、そうすれば助かる見込みはある。または、臓器移植さえできれば回復するかもしれない。みたいな現実的にギリギリ希望を持てる状況下というのがうまい。
だから、アリオスは無人島で語った「自分がバカみたい」と思いつつもやめられないわけで。
さらに、レヴィアスが変装したアリオスという人格も「縛られることなく自由に生きる気ままな剣士」というのが彼の理想だとわかる。これは言及されているわけではないけれど、トロワでわかってくる。
そうすると、なりたい存在であるアリオスに成り代わった彼はエリスに似ていたコレットとの疑似恋愛から本物の恋愛をしていたという道筋になって、それがトロワになって完成する。
トロワで完成というが、天レクで自決してしまった彼の中途半端な気持ちにハッキリと区切りをつけるという意味で。
天レクから恋愛が発展していったというよりも、天レクで摘み忘れたものをトロワで拾っていく形になる。
あのとき〇〇だった、そのときは▲▲だった、でも今は…という話になっている。
過去に言及するアリオスとの恋愛はとてもおもしろい。天レク時に既にコレットへの愛情を感じながらも信念でねじ伏せた感じがひしひしと伝わってくる。
お前そんなにコレットが好きならさっさとすべて諦めてコレットと結婚しろ!とも思うわけですが、まあそれは出来ない事情もわかるわけで。
そうなるとエトワールでコレットに忠誠を誓ったのは、その前のツイコレでコレットの危機を知ってダッシュして聖獣の宇宙へ駆けて行ったアリオスの想いはどうなるのか。
エトワではなぜかエンジュとの恋愛に移行するわけですが(エトワがそういう仕様だっちゅーの)、度々私はエトワのアリオスは「設定はアリコレ仕様、恋愛はアリエン仕様」という形にしてしまってる。
前段階であれほどアリコレ要素を入れてしまって、いやいやあれはコレットの宇宙愛(なんだそりゃ!でも公式なんだよ~)にアリオスが応えてってことになってるけど、それはあまりにも不自然すぎる。
消去法として設定盛りまくりのアリコレに対して、ほぼなにも匂わせないアリエンはそうするしかなかった。もう逆転するにはエンジュがエリスの生まれ変わりにするしかなく、そうなると今度他のキャラとの恋愛ができないから事実上無理になるわけで。
苦しいながら恋愛を続けるには、アリコレ要素を除いたアリオスということになるけれど、それはまったく魅力を感じなかったトロワ版アリオス(ただの記憶喪失の青年)になるのはなんとも言い難いものがあった。
設定って盛りすぎても回収できなかったり、ただのスペックだけだと面白みがなくなるけど、なさすぎるのもまたシラケるもんだよな、と率直に思う。