執着する男
エルンストのことを研究以外は淡泊というのを読んだことがある。
しかし、むしろ、これはアリオスのことだと私は思っている。
というのも、アリオスはかなり執着する気質だから。
以前に「愛の反対は憎しみではなく無関心」というマザー・テレサの言葉を書いたのですが、彼はその通りの成長を遂げる。
つまり、親から皇子というもの以外に求められず、無関心で期待されることもなく育てられた。
だから、強いも弱いもすべて持ち合わせる自分を丸ごと愛してくれたエリスに、絶大なる信頼と愛情を注いだのだと思う。
その死が彼の運命を狂わせたのは、仕方ないことだっただろう。
その後に登場するコレットのことをなかなか認められなかったのは、認めてしまえば今までの苦節十年がすべて泡になってしまうどころか、自身のアイデンティティまで崩れてしまうから。
人間は自分に都合悪いことはなかなか認められいもの。
それゆえの天レクED。
けれど、一度認めてしまえば、心が軽くなる。
だからこそのトロワEDだと思えば納得。
でも、それでも自分の身を定めることができなくて、ウジウジしていたのがTWINコレクションのアリオスだと思うし、その後、決心して聖獣の宇宙へ行ったのが中庭のエピソードだと思う。
アリオスは一度決めたことはやり遂げる男だ。
だからこそ、不毛な生き方だってわかっていても、それを止める術がなかった。
なら、聖獣の宇宙でこの身を捧げると誓ったからこそは、コレットにかなり執着しているんだと思う。
完全にアリオス→→→→→←コレットくらいの感じで(笑)。
聖獣の宇宙でアリオスを扱き使っているんだから、コレット→アリオスでしょう、とか言われるけれど、今までの経緯を考えてしまうと、私としてはどうしてもアリオスの執着としてしか思えなくて。
この執着、どこかで感じたなぁと思ったら、源氏物語の若菜の巻以降の光源氏でした。
完全に光源氏→→→→→←紫の上だから(笑)。
いや、正確に言えば、もうこのときの紫色の上は彼を本当の意味で愛してはいない。同情や広い意味での愛情はあっても恋愛感情はない。
だからこそ、死なないで、自分を置いてかないで、と縋りつく光源氏の姿は、聖殿の奥深くに眠っているコレットを見ているアリオスに重なるのだ。