第二皇位継承権の謎
レヴィアス(アリオス)がクーデターを起こしたきっかけは、エリスの自殺なわけですが、個人的にはあくまできっかけに過ぎないと思っている。
十年も時間が経過しているし、彼のカリスマ性があってこその反乱なのだが、反乱する素地があったのも事実で、エリスのことがなくても、彼はいずれは担ぎ上げられる運命だったように思う。
そこで、ルビパが絶対に考えていなかったであろう、レヴィアスの第二皇位継承権について妄想してみた。
なぜ彼は第二皇位継承者だったのか。
傍流にいた彼ら一族の中で、彼だけの待遇(皇位)は変化しなかったのか。
これって結構な謎。
(もしかしたら、小説の方には書いてあるのかもしれないけれど、私は未読なので。)
レヴィアスの父親は弟に帝位を奪われ失脚。
けれど、その息子のレヴィアスの皇位は奪われていない。
廃嫡してもよいのに、なぜ彼は生き残れたか。
政変の場合は殺されてもおかしくないので、本来ならレヴィアス親子共々あの世行きでもよかったのに、彼らは生き残り、更にレヴィアスの待遇はそのままだ。
そもそも、レヴィアスの宇宙は皇帝が絶対的な権力を握っているのだが、争いが多く、絶えず戦争があったことは公式にある。
ということは、宮廷内ではある程度絶対権力だったのかもしれないが、既に綻びが出ているのではないか?
絶対権力の場合、いい意味でも悪い意味でも世の中が安定しているので、あまり騒動はない。
と、なると、レヴィアスの父親を殺すと貴族たちの指示が得られない=皇帝の権力の基盤が緩いという下地があったのではないか。
レヴィアスの叔父勢力とレヴィアスの父親勢力の権力闘争の末、叔父が勝利し、皇帝になったのであって、親父はボンクラかもしれないが、その勢力(おそらく長男指示ということは保守派か)は侮りがたいものだった。
そのため、レヴィアスの皇位は保たれたということ。
また、それとは違う場合もある。
恐らくは完全男系であったであろう皇位継承者。
レヴィアスと同世代の男子が、皇位第一皇子(皇帝の息子、即ち皇太子か?)しかいなかった場合だ。
レヴィアスを廃嫡してしまうと、唯ひとりの男子となり、権力闘争激しい宮中にて、さすがにそれは選択できなかったのではないか。
このとき、レヴィアスは18歳。
第一皇子なら年は前後するから子供が生まれたとしても、ひとりいるかいないかだ。
生まれた子が男の子ならともかく、女の子の場合もあるし、そもそもまだ15歳くらいの可能性もあるから、世継ぎ問題はもっと先の話ってことになる。
だからレヴィアスの皇位は保たれたのかもしれない。
もう少しレヴィアスの宇宙について知りたいんだけど、どうも魔恋もそこまで踏み込んではいないようなんだよね。
ホント、謎。
エンジュの立場
特定のキャラクターが、優遇あるいは冷遇と言われるということ。
例えば、アンジェリークではリモージュ優遇、コレット冷遇なんて言われている。
(個人的な見解を言えば、私はコレット最萌だが、特別冷遇とは思えない。確かにリモージュの設定は優遇される傾向にあるが、これは致し方ない部分もあり、他キャラバランスが崩れるほどではないと思う。)
その中で優遇とも冷遇ともとれるキャラがエンジュだ。
まず、優遇の方から。
聖天使というポジションが恋はタブーという前提はない。
だから、(特にリモージュが被った)恋は禁忌というものがないので、聖天使就任後も恋愛OKみたいなところがある。
女王でも恋愛できたコレットだが、名実ともに女王に君臨したエトワールでは恋愛できない仕様になっているのだから、エンジュを取り巻く恋愛観が、リモージュ・コレットと異なることはわかる。
絶対的なタブーのない恋愛。それは自由だ。
公のために私を犠牲にしてきた女王の精神がないぶん、そこに優遇を感じるのはある意味仕方ないかも。
(ただし、ゲーム上は聖天使ED=女王ED扱いだから恋愛していることにはならない。)
また、イベント等のヒロイン設定がエンジュ。
エンジュと名前は出なくても、聖天使と言われているのだから、誰もがエンジュを想定しているわけで、いつもいつも愛されヒロインポジだ。
それに、テレビアニメは彼女がヒロインだったわけだから、長いアンジェリークの歴史上、テレビアニメという栄光を手にした女の子でもある。
ただし、イベントもアニメも全キャラ登場するのがエトワールだからという理由で、エンジュを優遇するためというわけではない。
これだけなら、優遇キャラでいいのだけれど、彼女はまた冷遇ヒロインとも言われている。
絶対的に避けて通れないのが、エトワールが一番人気がないゲームだからだ。
これはゲームシステムとか設定とか、様々な要因があるのだが、エンジュ以外の他キャラが割と人気だったので、エンジュすら戦犯にあがってしまう。
(個人的にはエンジュでなくても、誰がヒロインでもダメだったと思うが。)
それに、テレビアニメは性格がゲームと違い、これまた大荒れ。
元からエンジュが嫌いだからアニメ見なくなった!という声もあれど、むしろエンジュが好きだったからこそ見られなくなった人も多かったのでは。
この嘆きはエンジュが好きな人ほど大きい。
加えて、どんなに頑張っても、彼女は女王のような絶対的な存在にはなれない。
これを自由な環境ととるか、中間管理職ととるかによって、彼女の評価は割れてしまう。
頑張ったけれど下っ端というのは、天レク・トロワのコレットも同様だったのだが、エンジュは肩書すら女王ではないので、更に格下感がある。
リモージュとコレットはいただく宇宙が違うだけで、基本的には同じ環境、立場の繰り返しだった。
だから、リモージュが受けている待遇は即ち、コレットも同じものだと想定される。
けれど、エンジュはその前例がないため、受け手によって自由に決められるからこそ、優遇にも冷遇にもとれるんだと思う。
省エネ
昔は私もコスメオタクで、某美容ジャーナリストの「化粧品に限っていえば、十年前から飽きている」という文言を見て、驚愕した。
その頃既に美容大国となっていた日本で、新商品の出ない月はなかった。
だから、私にはそんな日は来ない、と思っていた。
ところが、その驚愕した日より二三年後には、私もまた化粧品に飽きていた。
ハッキリ言って、肌に合っていることと、自分の予算にあっている商品であれば、どれでもよくなった。
今どきの日本に粗悪品などはなく、あとは合う合わないという問題だけだったからだ。
我々は限られた時間と予算の中で生きている。
どこにどれだけの予算をかけるのかは、どの時間になにをするかと同じだ。
要は自己管理になる。
ゲームは日進月歩だけど、結局は時間泥棒だし、正直に告白すれば、新しい何かを求めて大海原に出るバイタリティーがもうないのだ。
なので、アンジェリークより良作で、自分に合ったゲームなんていくらでもあるだろうが、もうアンジェリークでいいや、となっている。
萌えについても、アリコレ以上のカップリング(もしくはキャラクター)は存在するだろうが、このカプ最萌でいいや状態。
最旬のものなら、燃料投下も多々あるだろうが、そこに当たるまでの時間と労力を考えると、燃料なくても、公式から放置どころか抹殺されてても、このままでいいや、となっている。
一言でいえば懐古厨なんだろうが、積極的に「昔はよかった!」と振り返っているんじゃなくて、消去法でこのままでOKみたいな(笑)。
それと、カプに限っていえば、私はアリコレを越えるものは早々にないと思っている。
これは、私のこのカプに対する萌えが、敵対していたからとか、対等な関係だからいいというわけではなく、最大のキモが「エリスという存在がいる」ことだからだ。
つまり、レヴィアス(アリオス)がエリスを失って十年経っても彼は未だに彼女を愛していたということは、彼がコレットを愛したならずっと愛してくれるという布石になるわけだし。
それに、おそらくは彼の好みではなかったであろうコレットが、エリスというファクターを通すことで、ドストライクなキャラに変身する。
また、アリオスというつかみどころのないキャラが、出逢った際には「既にコレットが(恋愛感情でなくても)気になっている」という付属もついている。
更に、エリスを見ているように接していたアリオスが、エリスに似ているから好きになってきてしまって、その後は「エリスに似てない部分」に惚れてしまう。
敵対するキャラとか、亡き恋人に似ていたからとか、そういうカプはいくつでもあるだろうが、その心理的移行が私のドストライクなのだ。
だから、まだしばらくはこのカプひとつでいいかな、と思っています。
エリスの気持ち
どの本で読んだか失念したが、源氏物語にて藤壺は光源氏が紫の上を娶った理由を知っているだろう、とあった。
藤壺にとって、紫の上は姪。
光源氏が一目見て若紫を藤壺に似てる!と思ったくらいだから、藤壺の兄から「失踪した娘はお前によく似ていてね」なんて話を聞いていただろうし。
光源氏が紫の上を娶ったのは、既に藤壺は彼の子を出産している。
物語はそのことに対し、一切口を噤んでいるのでわからない。
ただ、藤壺の言動を見ていると、罪に怯えてはいるものの、光源氏に対して絶対的優位であったことから、彼から愛されているということは十分に理解していただろう。
藤壺自身が聡明であるし、なにより、紫の上を娶ったことが証拠だ。
このときの紫の上は、海のものとも山のものとも思えぬ、得体の知れぬ姫君だった。
親王の娘であったが、世間的に認知された娘ではなく、あくまで庶子であったし、祖母の家から盗み出すようにして、なし崩し的に夫婦になった顛末は、光源氏ほどの大物がする婚姻ではなかった。
(その直前に入り婿した先の左大臣家には傅かれていた光源氏だが、そんな後ろ盾を紫の上は持っていない。)
これらを考えて、わざわざ世間的に認知させることなく夫婦になった姪っ子の存在は、即ち藤壺への執着だろうと考えたに違いない。
それを迷惑と思ったか、優越感を感じたか、はたまた嫉妬心を煽ったかはわからぬが。
前置きが長くなったが、そこでエリス。
エリスは藤壺と違って既に他界している状態なので、おそらくレヴィアスの心情はすべてお見通しだったと思う。
最初はエリスありきの存在だったコレットが、いつの間にか彼女を超越するものになっていった。
レヴィアスはコレットを愛しているけれど、それをガンと認めていないだけで、本音では彼女を愛している。
それを知って、彼女はなにを思ったか。
既に、彼女の死でレヴィアスの運命は狂ってしまったのだから、それ以上の哀しみはないと思っている。
だから、素直にコレットと結ばれたらよいとおもったのか。
それとも、やはりずっと自分のことだけを想ってほしかったのか。
それはわからない。
ただ、ゲームの中で、彼女は絶えずレヴィアスの幸せを願っていたのは、間違いないのだが。
エロスな関係
鹿島茂さんが、その著書で「女の子が高く飛んでおじさんが受け止めるサーカスの曲芸がとてもエロティックに感じた」と書いてあって、なんだろう?と考えた結果、「互いの絶対的な信頼性がエロい」と結論づけていた。
絶対的な信頼。
確かにそれってエロい。
ふれ合わないにも関わらず、とてもセクシャルに感じるってことがある。
そういう精神的なつながりのエロさ。
そういう意味ではアリコレは本当にエロい。
天レクは公式通りなら、一線を越えるどころか、手をつなぐことも、キスすることなく、最終的には片方は死に、片方は看取る。
その決別の直前まで、コレットは絶対的な信頼をアリオスに置いていた。
それは、命の恩人だったからだ(本当は自作自演の放火犯なんだけど、コレットは知らない)。
宇宙の危機を救う旅の最中にありながら、まったく関係ない(実はこいつがラスボスで原因なんだけど、コレットは知らないからさぁ…)人間を、尊敬する守護聖たちと同列に信頼している。
コレットという少女は心のやさしい子だから、命の恩人に対して疑いを抱くなんてことはできなかっただろうが、問題はアリオス。
この人は、殺そうと思えば殺せる距離でありながら、殺さない。
「エリスに似た少女を、俺は手にかけなくてはならないのか」という台詞はあれど、無人島のイベントだけでなく、決別の寸前の自然洞窟のときだって、ふたりきりだったのに、彼はコレットを殺さなかった。
いや、殺せなかったんだ。
以下は本当に妄想になるけれど、そうとしか思えない。
裏切り者だと自覚しているのに、絶対的な信頼を寄せる彼女との関係を、彼は壊したくなかったんだと思う。
手にかけようと思えば殺せる、この距離が彼には心地よかった。
そばにいたいというアリオスの願望と、いつでも殺せるというレヴィアスの安心感。
これは自分の思いではないと心を偽る。
その理由を「自分が絶対的に有利な立場」として。
最終的に離れたのは、そうならざるおえない立場(私設騎士団のことなど)だったからというのが大きいけれど、心情的にはもう限界だったのではないか。
限りある時間だったからこそ、共にいられる幸せ。
その一秒一秒を大事にして、心に刻んでいた。
死んでもなお、その瞳と唇を覚えているくらい執着してたんだから。
女王のサクリアの謎
サクリアについて最新の情報は、おそらく2005年発行のエトワールのメモリアルブックだろう。
そこに、サクリアとは、「宇宙を構成し、その発展に影響を与える要素のこと」と九つのサクリアを挙げている。
ということは、女王のサクリアというのは別問題ってことになる。
じゃぁ、なんだ?と問われても答えはない。
二次創作する上で、私は女王のサクリアを「どのサクリアが欠けても女王のサクリアで埋め合わせできる無色透明なもの。しかし、それゆえに直接的な影響は少ない」としている。
(そうしないと書けないので。)
しかし、どうなんでしょうね。
サクリアの定義が、九つのサクリアと限定されているなら、女王のサクリアとは一体なんだ?
で、考えたのは、女王のサクリア=宇宙の意思疎通なのではないか。
女王のサクリアがある期間だけ、宇宙の意思と交信できる。
つまりは、女王は宇宙を統治する存在ではなく、巫女的な存在。
その証拠に、同じエトワールのメモリアルブックの女王について、「特別な力で広大な宇宙を治める至高の存在」とある。
ここに女王のサクリアという文字はない。
女王が巫女的な存在なら「使命か恋か」というのは生きてくる。
もし、プラトニックがOKならトロワ以降も(苦しいが)弁明できる。
女王のサクリアだからと言及されていないが、女王のみ時の流れを自在に操れるということがトロワで出てくる。
だから、命をかけて、ティエン・シーはアルカディアを時空移動できた。
なら、時空移動(時間の流れの制御)=女王のサクリアと定義できるかもしれない。
そういえば、エトワールの聖天使EDでコレットが「白い翼は女の子の勇気の証なの」みたいな台詞を言うんだけど、どうしたものか。
ずっとあれは女王ならびに、(女王の素質のある)天使のような女の子だからこそできるものだと思っていたのだが。
そう定義されているわけでもないが、そのような演出をしている。
だが、女王に限定してしまうと、エンジュはその資質がないため、女の子の勇気になったのか。
たぶん、エンジュ=女王に匹敵する資質を持つということを証明せんがために、女王のサクリアというものが消滅したのかもしれない。
それまでは頻繁に聞いた言葉だったように思うし。
また付随して、女王補佐官のことも疑問なんだよね。
女王のサクリア保有者なら、補佐官任命後もそれが残っているのか、女王蜂のように、ひとりが女王に戴冠したら、その能力は消え失せてしまうのか。
そもそもの女王のサクリアの定義がないからなんとも言えないのですが、私自身は補佐官に就く場合は「サクリア放棄」と見做して、女王のサクリアはなくなるものとしている。
トラウマにならなかった人たち
クラヴィス、ヴィクトール、アリオス、フランシスはトラウマというコードを持たされているんだけど、逆に同じような不遇の過去を持ちながら、トラウマにならなかった人もいる。
克服ではなくて、ならない。
これって結構すごいこと。
まず、ランディ。
彼の母親は貴族の父親の家に認めてもらえず、追い出される形で家を出て、しばらく貧しい母子家庭だった。
その後、やはりランディ母子を忘れられなかった父親が合流し、これから家族団らんってときに、守護聖になる。
そういう割合暗い過去を持っていても、彼にその影はない。
守護聖になったことで、(名誉だからと)母親が父の家に認められたのはうれしかったと素直に認めるあたり、彼の性格の良さがわかる。
根底に、ランディは母親に愛されていたし、父親も彼らを捨てたのではなく、愛している証拠にすべてを捨てて親子で一緒になるから、「親に愛されない・捨てられた」という最大のトラウマを回避できたことも大きいだろう。
両親が大恋愛なタイプなのに、堅実な感じがするのもランディらしい。
トラウマがどの程度かによって違うけれど、ゼフェルもトラウマとは思えないんだよね。
もちろん、聖地の不条理に反発することはあれど、不器用なのも、言葉が悪いのも、彼の素地だったと思うから、トラウマによって大人しい子→厭世的な性格になったクラヴィスや、ひねくれ者→冷酷な性格になったアリオスとも違う。
ゼフェルもまた、親や友達から愛され、それを取り上げられたことに対して憤慨しているので、トラウマとは違うのかな。
レオナードもトラウマという感じがしない。
孤児院育ちというだけで、トラウマになってもおかしくないのだけど、彼は彼なりに荒れた町も愛していたし、それを受け入れる度量があった。
唯一の肉親と別れたユーイとか、孤児だったセイランとか、トラウマになりそうな過去を持ちながら、そうならなかった人ってアンジェリークでは意外と多い。
遙か2のように「恋愛ではなくカウンセリング」みたいに、本人はまったく悪くない人もいるのだが、どうしても恋愛がカウンセリング要素を含むことが多くなってきたから、そういうのじゃなくて、段々に仲良くなって恋をする過程も好き。
その方がごく自然なんだけど、劇的な演出をするなら、どうしても暗い過去とか、試練とかそういう方向になってしまうんだろうな。
アリオス×コレットが一番劇的なCPなんで、それを私が言うのも変なんだけどね(笑)。