コード化されたキャラクター
キャラクターにはコード化されたものがあります。
特にゲームというのはわかりやすくしなくてはならないので、それが顕著ですよね。
アンジェリークも例外なくそうです。
アリオスは「簒奪する」をコード化されたキャラクターです。
だから、トロワでも「一緒に逃げてやるぜ」という台詞があるのですが、これをエトワールでやるとちょっと違うと思う。
トロワは会話のひとつだし、それ自体がそんなに大きな割合を占めるわけではない。
しかし、エトワールだとEDで俺とお前しかいない世界へ、ということになる。
そもそも既存キャラがすべて守護聖という逃げられない立場だから、アリオスしかできないというのもあります。
でもね、エトワールという1年限定の役割からどうして逃げるのさ、ということになる。
だから、アリオスって扱き使われてたから奴が逃げたかったんだ、って言われてしまう。
それってどうよ。
アリオスがどうして「逃げる」を選択するかというと、エリスの死がきっかけなわけです。
彼女の態度がいつもと違うとわかっていたのに、おそらく虫の居所が悪くてそれ以上追求しなかった。
その後に彼女の死を知ってしまう。
本当な皇族であることになんの未練もなかったのに、自分が皇族であるからこそ彼女を死なせてしまった。
あのときふたりで逃げればよかった、という後悔。
たぶん、若いふたりが逃げられるほど甘くないから、その後、彼らはなんだかの処分をされていただろうとは思いますが、アリオス(レヴィアス)としては後悔はなかったはずです。
(逆に言うと、これこそエリスが避けたかった事態なんですが。)
ここにあるだけが正しいわかじゃない。
その後悔こそが、アリオスを「簒奪する」というキャラクターコードになったと思うのですが。
ただ、奪い去るということでは決してないはずです。
それが、単に誰もいない世界に行こうって、エンジュでなくても不安いっぱいです。
奪い去るという行為は源氏物語の若紫や夕顔にもあるから、やはり女性としてはうっとりするシュチュエーションですね。
素敵な男性に力尽くで、抵抗もできないくらい奪われる。
それは、女性としても男性に好意がなくてはダメですが、現実にはないから憧れるというもの。
だからとって、なんでもかんでも逃げてしまったら、それは単なる逃避になってしまうのです。
そのヘンテコなコードを背負ったアリオスがちょっと不憫です。