アニメ総括
恋する天使アンジェリークを1,2クール全話見ました。
今回は総括の感想を。
このアニメを一言で表すなら、「イライラする」だと思う。
とにかく、イラつく、鼻につくことが多い。
それは世界観とキャラクター性のズレが生じたことと、アニメで描きたかったことが最後までできなかったことに由来すると思う。
先ず、世界観とキャラクター性のズレについて。
どんな世界も基本はgive-and-take。
けれど、ここではエンジュ至高になり、他キャラ(特に女性キャラ)が割を食うかたちになっている。
コレットは顕著にそうなっている。
ほとんど丸投げ女王で、助けを求めるだけの姫ポジ。
説明だけ女王は至高の存在になっていても、それを思わせるエピソードがないから、全然偉そうに見えない。
エンジュはやたら女王はすごいって言うけれど、そこに至る過程が描かれないので「?」となるし、彼女自身が天使という絵柄が出てきても、唐突すぎて茶を吹くしかできない。
女王がすごい→それに準じるエンジュも実はすごい、という構図にならないと、エンジュは天使ってなぜ?となる。
リモージュはゲームではチート設定とか言われているけど、アニメでは単なる電波だけなんだよね(ただし、リュミたちと違って、しっかりキャッチしているシーンがあるから不自然ではないが)。
私たちは応援しかできないから、とかいって。
これも、もう少しなんとかならないのか??
そもそもエンジュは下っ端なのに、レオナードに「あなたに守護聖になってほしくありません!」とか断言してしまうのも、どうかと思う。
コレットが言うならまだわかるけど、雇われの身でこの発言はまずいだろう。
守護聖を承諾したヴィクトールにも「納得してから聖地に来てほしい」とか、悠長なことを言ってしまう。
建前ではそうなんだけど、聖獣よりも安定した神鳥だってほぼ強制的に連行しているわけだから、そんなことしている場合じゃないんだよ。
そこで思い出すのがトロワのレイチェルの発言なんだけど、リモージュが体張って頑張っていても「たまには息抜きも必要だよ!」とか言う。
でも、その前に緊迫した事態を迎えているシーンがあって、「ここは私たちの宇宙の未来。自分の子供だと思って」とコレットを労わっているんだよね。
緊張感の後の弛緩的な台詞だと思うので、アニメのエンジュほどイラつくことはない。
アニメのエンジュの場合、仕事を一緒にすると自分勝手に判断して、尻拭いをこちらでしなくてはならないので、非常に面倒で嫌なタイプだ。
守護聖たちも、キャラクター特性が生かされてなくて、出番があるのにいいとこなしのゼフェル、同じく出番あるのにいまいちエピソードの思い出せないオスカー、説明係に徹しているルヴァ、エピソードもないからいきなり電波なリュミエール&マルセル、本当に怠慢なクラヴィス、伝番もなにもないオリヴィエ、なんだか存在感のないランディ。
一番キャラクターが描かれていたのはジュリアスだと思うけど、彼自身のエピソードはない。
もう少し横の連携とか描けなかったの?
次に、描きたかったことが最後まで描かれなかったということ。
最初は恋愛を重要事項と考えていたのか、不要なほどの過去設定。
つまり当初は伏線(過去)があれば、そのキャラクターとの恋愛は自然になると判断したのだろう。
エンジュ失恋→アリオスはその人とそっくり→片想い→実はアリオスは亡き恋人を未だに想っている→また失恋。
フランシスの前世→なぜかエンジュに惹かれる。
というのが、伏線なんですがね。
失恋した相手に似ているから好きになるって、真面目に思ったのか!?
エンジュはアリオスの顔がタイプで、それしか受け付けないという設定なら理解できるが、たぶん、ひとりぼっちの自分にもやさしいから惹かれたのに、顔見て好き!ってありえない。
何度も言っているが、アリオスがコレットに惹かれたのは、エリス復活という悲願があったからだ。ここを抜きにして単に似てるから好きでは、単なる頭の悪い子だよ。
ただ、アリオスがエリスを深く想っている設定にしたのは、正しい。
個人的にはコレットにしてほしかったけど(笑)、それはエトワールという設定のアニメでは絶対にできなかったろうし、エンジュが好きでも彼の気持ちは自分には向いていないって吐露しているから、それだけでも十分よかったよ。
フランシスもうさぎ恐怖症のことを無しにしてまで、アニメ設定生かしたのには???だった。
あれ、必要ないもん。
虚無な自分、偽った自分を理解し、癒してくれる少女に恋をするでいいのに、なぜあんな(しかも変な前世)に執着するんだ?謎。
逆に、私がいいなと思ったのは、そのキャラクターの特性が現れていたエピソードとか、横のつながりがわかるところ。
たとえば、ティムカが自分の運命だからと守護聖を快諾するけれど、本音では行きたくないと思っているから、とか。
コレットの電波を見て、レイチェルが思わず「アンジェリーク!」って本名を言っちゃうところとか。
そういえば、ティムカとレイチェルだけは女王試験のエピソードが挿入されていたんだよね。そういう何気ないところが好きだ。
リモージュとロザリアの女王試験のエピソードもよかったし。
キャラクター単体でいえば、2クールの11話だったか、アリオスが剣を振るうシーンもかっこよかった。
そういうのをもっと入れたらいいのに、なんか不自然な動きが多くて(ハッキリ言えば手抜き)、オスカーやランディももっと活躍してよさそうなのに、全然かっこいいところがなかった。
そういえば、このふたり、やたら剣の稽古はしていたけれど(笑)。
せっかくのアニメなんだから、動きをふんだんに入れることをキモにするのか、単なる各キャラのエピソードをオムニバス形式で入れるのか。
その辺をしっかり決めてから作ってほしかったな。
明らかに見切り発車で進めて、2クール目は前回の轍は踏まないようにしているよう修正してきたからね。