設定の盛り方
先日たまたまラブラブ天使様のドラマCDを聞いていたので、現代版の彼らの肩書がどうなっているのかちょっと調べたらすごいことになっていた。
テーマが「セレブとの恋愛」だから仕方ないのかもしれないけれど、元キャラとは一線を画すようなものもあって驚くよりも笑ってしまった。
あと、年齢的に高校生の場合は「高校生兼〇〇」みたいなキャラのみならず、他のキャラも俳優兼デザイナーとか兼業多すぎて吹いた。
いくらなんでも設定盛りすぎでしょう…。
私はラブラブ天使様のゲームはまったく知らなくて(知った時には既に終了コンテンツだった)どのような恋愛模様かわからないのですが、それにしても盛った設定がなにか話を大きく発展させるとは疑問。
アリオスもロックギタリストだけど本当は〇〇で…ってやつだし、でもそれがなにかヒロインとの関係に関わってくるのか謎。
ドラマCDでエンジュのデフォ名は言わず「エトワール」「聖天使」呼びにも違和感があったが、ラブラブ天使様の「希望の天使」呼びは聞くたびに失笑するしかなかった。
アンジェリークのドラマは初期の頃がいいといわれるが、確かにラブラブ天使様なんて聞くと初期でも「自分にはちょっと…」って思っていたやつもおもしろく感じる。
それくらいのクオリティだった。
強さの秘訣
ただの思い込みなんだけど、常々「エンジュ厨が一番強い」と思っていた。
というのも、エンジュのファンはリモコレよりも少ない。
数をカウントしたわけでもないけれど、おそらく間違いないだろう。
これは、エトワール前にアンジェリークを離脱した人が多いというだけで、単純に分母の数が違うってだけの話。
それだけじゃなくて、エンジュを好きだという人は当然だけどエトワールplay済み。
勿論、エトワールのみplayした人もいるだろうが、多くは少なくとも前作トロワを含めた以前の作品をしたことがあるだろう。
ということは、リモージュ・コレット(デュエットにてロザリア、スイアンでレイチェルなど)を経験した上で「エンジュが一番好き」という結論に至ったのではないだろうか。
リモ厨コレ厨の中にはヒロインが好きすぎて次代ヒロインでplayできなかった層が少なからずいるから、ちゃんとキャラクターを動かした上で「この娘が好き」と結論を出す方が強い。
それゆえに、エンジュ厨の強さを感じるのだと思ったのです。
アンジェリークのヒロインはその中では個性があっても、ゲーム上は無個性に近い。
だから、エンジュについてもキャラ造形やゲームの会話、またはCPの組み合わせが気に入って好きになったのだろうが、それはリモージュにしてもコレットにしても同様である。
単に自分に合ったキャラであったということなんだけど、逆にいえば、小さな個性の中でこの娘が最高!ってなったのだから、本当に好きなんだともいえる。
あとは、やはり「少ないから団結しよう」という心理も働いていると思う。
エトワールはアンジェリーク最盛期を過ぎて(もしくは発売後に過ぎたと感じた)作品で、ヒロイン交代だけでなく、教官協力者の守護聖化、アリオスとの恋愛という設定の問題や、ゲームバランスの悪さは指摘されている。
(守護聖化賛成もアリオスを落とせることに喜んでいる人もいるので、全面的に駄作ではないだろうが、NGとした人が多かったのも事実。)
私もそうだけど、エトワール前離脱組もかなり多い。
そんな中でも「エトワはエトワで楽しい!」と主張し、仲間を見つけて喜びを分かち合う心理はマイナージャンルならでは。
もうアンジェリーク自体がマイナーだから、そういう気持ちはすごくよく理解できる。
守る男
アリオスはなにかと「お前を守ってやる」という台詞を吐くので、アリオスは常に自分の女を守っているイメージなんだけど、不思議とレヴィアスがエリスを守っているイメージはない。
天レクの合間に出てくる過去でも、むしろエリスがレヴィアスを守っている感じがする。
アリオスを語るにはエリスは決して外せないファクターだから、彼のエリス喪失の後悔が常に自分の女を守る…というスタンスになったのかもしれない。
特に、天レク時は正体を偽っていたわけで、彼らを信頼させるためにも「守る」姿勢は必須だったはず。
しかし、それ以降も「お前を守る」ことを続けていたわけだから、本心ではずっとコレットを守りたかったんだと思っている。
どうしても剣士という属性上「守る」イメージはついて回るもので、オスカー、ヴィクトールも同様にある。
アンジェリークは男性上位の恋愛観ゆえに「か弱い少女で守られたい」「か弱い少女を守りたい」となりがち。
そうすると相手はどうしても「守る価値の大きい」女王になる方が納得する。
補佐官でも聖天使でも問題ないとは思うけど、やはりここは女王>補佐官>聖天使のヒエラルキーが存在する。
オスカーが別宇宙に所属する聖天使を守るよりも、自分が傅く女王を守る方が真実味と説得力が増す。
これはオスカーに限らず、ヴィクトールでもアリオスでも一緒。
アリオスは女王に傅くために女王の影をやっているわけではないので、惚れた女を守るために日々頑張っているんだと思う。
ただ好きな女を守るよりもずっとずっと重たい。
ここに至るまでの過程をふまえたら、アリオスがコレットとともにいる意味だけでご飯が三杯はいけてしまうのです。
転生は誰のため?
天レクのアリオスEDにて、レイチェルの発言はアリオスの死後、彼が聖獣の宇宙に転生したと示唆している。
他キャラEDでは単なる人類の誕生しか示さないのに対し、アリオスEDのみ「金と緑の瞳を持った男の子」と言及されているので、アリオスの生まれ変わりで間違いない。
少なくともコレットはそう思ったからこそ、泣いているのだから。
公式ではこのアリオスの転生を「コレットが女王の慈愛でさせたこと」としている。
これはアリオスを含めて16通りのEDがあるわけで、他キャラを選択した場合に「女王の慈愛以外」で転生を赦したのなら、それこそ由々しき問題である。
そこは仕方ないとしても、やはり私はこの転生は「アリオスがコレットの宇宙に生まれ変わりたかった」と捉えたい。
というのも、もしコレットが女王の慈愛で転生させたのなら、私設騎士団のメンバーやエリスも一緒に転生できたはず。
ただ、彼らが他宇宙で既に死亡しているために、それは叶わなかったということも考えられるので、コレットの力が及ばなかった可能性もある。
けれど、本当にアリオスの幸せを願うなら、彼を支えていた人々を一緒に転生させたいと思うだろう。
(まぁ、これはゲームの都合上できなかった、ということなんだろうけれど。)
でも、アリオスがコレットと一緒にいたかった、と考えれば、記憶を失ってもコレットの面影は覚えていたわけで(ゲームのみならずOVAでも語られているから、おぼろげながら記憶が残っている設定が当初からあったと予想)それほど強い想いが残っていたと考えるのが妥当だろう。
その強烈な想いはどこから来ているのかと問われれば、やはりアリオスはコレットを愛していた、という結論になってしまう。
今の人生では叶わない「ともに生きる」をいつか…という気持ちで、彼は灰燼に帰したのではないか、と思っている。
バチカン奇跡調査官
家にものが多くてなんとかしなくてはと思っていたところ、「全体的にミニマムにしたいけれど、電子書籍ではなく紙媒体がよいという気持ちはわかる。それに本の内容が薄いと思っても、1冊約1500円程度なのでそれほどの損ではない」というような文章を読んでしまい、つい自分に甘い私は古本をぽちり。
好きな本は新刊で速攻手に入れたいけれど、暇つぶしには安価な古本を適当に見繕って買うのが、一番のストレス解消法だったりする。
で、今回試に購入してみたのが『バチカン奇跡調査官』のシリーズ。
試しだったので、3冊ほど。
基本的に1冊完結なのでどれでもいいらしい。
実はちょっとアニメの方を見てみたらおもしろかったので、原作を読みたくなったのでした。
正直な感想は辛口なんですが、ミステリーとしては中途半端な感じでした。
キャラ描写が割と繰り返しあるので、ミステリー<キャラ萌えな作品であると思う。
これは個人差になってしまうが、私は見た中ではキャラにハマらなかったので、ミステリー部分に関心がいってしまうんだけど、残念ながら読了後の爽快感も、結末の意外性もなかった。
犯人だろうと思ったキャラが犯人だし、その動機も想像通りだった。
かといって、本格ミステリーのようなロジックに徹しているわけでもないので、中途半端な感じになってしまったのだろう。
このバチカン奇跡調査官と似たような感覚をおぼえるのは、有栖川有栖の火村英生シリーズなんだけど、あれも一種のキャラ萌えだと思うが、作者が本格ミステリーに凝っているのでミステリー>キャラ萌えになっていると思う。
キャラ萌え作品にありがちなおざなり感はないから惜しいのだけど、ならどうすればいいか、と問われると、もうミステリーの濃度を上げるしかない。
それが一番難しいんだけど。
ミステリーといってもそれほどロジックに徹してなくても魅せるタイプの本はたくさんある。
横溝正史も江戸川乱歩も本格派としているが、実際それほど凝ってはいない。
でも、伏線の刈り取りとか、キャラクターらしさとか、そういうもので読ませてくれるから、読了感はよかったりする。
京極夏彦は動機を探るのは不要と作中なんども訴えているんだけど、実際読んでみると動機が一番の意外性だったりするんだよね。
そういうなにか一押しがあれば、と思わずにはいられない。
ただ、アニメの原作にはちょうどいいかもしれない。
むしろ京極夏彦の京極堂シリーズはアニメやドラマには不向きだと思う。(実際、映画はひどかった。アニメはよく頑張っていたけれど、やっぱり原作を読んでいた方が深みを感じる。)
作画もよかったし、テンポよく話が進むから、伏線の刈り取りとか考えずに、話の流れに身を任せて見ているだけでOKみたいな感じで。
時間の経過
今更ながら、アルカディアにおける時間の経過が気になってしまった。
というのも、セレスティアはトロワの元育成地であるエレミアであるから、本来はなにもない土地だったはず。
けれど、エトワールにて繁華街となっている。
それなら少なくともエレミアにおいては数年~数十年は経過しているはず。
なんだけど、トロワ→エトワールの主軸にて時間の経過はほぼない計算となっている。
それは、ヴィクトールやエルンストなどのキャラクターの年齢が大幅に上昇してしまうことと同時に、メルやティムカなどの年下キャラが同年代から先輩キャラになってしまうことを防ぐ目的である。
トロワで教官協力者3年という年を重ねたのは、それだけ聖地と下界の違いをわからせるのもあるだろうが、新キャラのいないトロワにてキャラクターの成長を感じさせるのが目的であったであろうと思われる。
そう考えると、今更ながら天レク→トロワを経過時間0にして、トロワ→エトワールで3年経過した方がより自然に感じる。
エトワールの設定それ自体が「攻略キャラクターを失わず」というコンセプトだったはずで、それを軸にしてしまうとすべてはほぼ後付け設定になってしまったのだと思う。
天レク時においてトロワ構想があったように思われるが、トロワ制作時に果たしてエトワールの構想があったのかどうか…。
どうしても設定だけ見ると、エトワールはゴリ押しを通り越して無理矢理延命している気がしてならない。
アブナイ★恋の捜査室
久し振りにゲームを購入しました。
『アブナイ★恋の捜査室』
元が携帯アプリとのことで、選択肢を選ぶだけの完全なるテキストゲーム。
PSP版は1stと2ndシーズンを収録していて、どちらも全員をクリアすると事件の真相にたどり着ける仕様になっている。
基本的に同僚4人→小野瀬→穂積(→2ndのみ藤守兄)で解決するので、同僚たちは各人の見方が違うだけでほぼ重要度は同じくらい。
真相に迫る小野瀬・穂積√がの方が重要度が高く、シナリオの面白味が強い。
藤守兄は隠しキャラ√というかおまけ√というか、これは別シナリオと捉えた方がいいかも。面白くても横のつながりはない。
恋愛面ではラブコメなので捜査室紅一点のハーレムで可愛がられているという二次元的設定で、軽く読めるテキストだからこれはこれでいいと思う。
それより、証拠品のエロ本を喜んでいるようなメンツの男子校のようなノリの方が読んでいて楽しかった。
恋愛描写は特に優れているとは思わなかったけれど(甘い雰囲気ではあるので、悪くはない)個人的にはキャラの描写の方が良かった。
キャラの造形は「オネエ口調だが暴君の上司」「ドSな分析官」など欠点も魅力的な二次元仕様なのだが、キャラクターを対比させることによって浮かび上がるような側面があったのが好きだった。
例えば、同期の小野瀬・穂積だが、物わかりのよい小野瀬は「自分は捨てたくせに新しく作った家族は大切にする母親も、息子がいるのに若い女を引き入れた父親も嫌い」と穂積に切って捨てられる。
小野瀬は家族のことは話さないと前に言っているので、ここで「穂積には心を許している」また「穂積は小野瀬のことを理解している」と同時に示されている。
また、小野瀬は完璧な男で誰から見ても憧れるスマートさを持っているのだが、藤守からすると「できる男は違うね」になるけれど、明智にしたら煙たい存在として描かれる。
恐らく、明智は嫉妬できる、つまり小野瀬に近いスペックがあるので嫉妬できる範疇にあることを示している。小野瀬に嫉妬するのは明智くらいなので、他キャラは肩を並べられないのだと思う。
ちなみに、穂積は小野瀬に嫉妬することはない。多分、個人の方向性の違いだろう。
あと、藤守兄弟の描写だが、基本的にできる兄(残念なことが多いが)と面倒見の良い弟で構成されていて、それほど意外性はない。
けれど、個人的にこれは!と思ったのが、豪華版の特典CDの一コマで、帰郷する際母親から電話があって深夜に着くから夕飯はいらんという弟に対し、兄は食べるという。
しかも、カレーと刺身(笑)。
しかし、その理由が「多分、刺身は夕方には買ってある」というもの。
弟は深夜に帰宅するから手間かけたら悪いと思って夕飯はいらんという返答になるんだけど、兄は母は息子の帰りを楽しみにしてカレーを作り、よい刺身があったから買っている。だから食べるという選択をするんだよね。この辺の心理描写は見事だと思った。
このゲームを購入した決めてが藤守兄の声が成田さんだったからなんですが、この役が残念なイケメンだったので「レヴィアスのパラレルっぽいかも」と思ったというかなり不純な動機(笑)。
結果として、あまりレヴィアスっぽくはなかったのですが、コメディリリーフとしての役割も面白くてよかった。
ハイスペックを誇る検察官だけど実はオタクで「女に告られるけどすぐ振られる」という残念系なんだけど、難をいうなら、あと少しハイスペックな男の面が見られたら良かったな。お洒落なレストランに誘ったり、高そうなシャンパンを呑ませてくれたり、コートをかけてくれたりしてはいるんだけどね。
恋愛ゲームって学園ものやアイドルものが多いから、案外社会人ものって少ない気がするのだが、個人的には前者に食指が動かないので、こういうタイプが好き。
Backlushもそうだったけど、ヒロイン社会人で攻略キャラの人間関係が緻密に描かれるようなゲームをもっとしてみたいかも。
残念ながら、アブ恋の3rdシーズンはVitaでのみ発売されていて、シナリオの内容はそう悪くないみたいだが、なんせ3rdシーズンのみ収録で短いみたい。
それに藤守兄は攻略対象外となり、出番もほとんどないみたい。特典CDにも出てないもんね。ホントに残念。
尚、さすがに数年前に発売されたものだし、小さくまとまっているタイプのゲームなので、二次創作はほとんどなかった。
これも残念でした。