アリコレ館

アンジェリークのアリオス×コレットばかりかと

ギリギリを死守する

名探偵ポワロのドラマを時々見ている。

ドラマの都合上登場人物の設定が変更になっていたりするものの基本的に原作に沿った脚本になっていると思う。

で、久方ぶりにミス・マープルのドラマを見てひっくり返るくらいビックリした。

以前見たことがあったけどその頃はまだ今ほどクリスティ作品になじみがなかったのでスルーしていたのだと思うのだけど、それはあるドラマの犯人が被害者について劣情を抱いていたことに驚いたの。

 

クリスティ作品の中には(非血縁者も含めて)家族愛がこじれて殺人になったパターンのものがいくつかある。

当時の女性は生家から脱するパターンは多くなく、その代表的なものが結婚だった。

いやむしろ合法的に脱する場合は結婚くらいしかなかった。

中にはモラハラ的に追い詰める犯人もいるけれど、モラハラになる一歩手前ギリギリの状態で家族を束縛するタイプの犯人もいる。

尚、犯人だけでなく被害者にもいるので、束縛=犯人ではないのでご注意を。

 

愛するひとを束縛する側はそこに性欲を見出してしまうと生々しい感情がせっかく作り上げた物語を壊してしまう。

物語上強すぎる愛情としては描かれているものの、恋愛感情とはされていない。

深読みすればそれは無自覚な恋愛感情とは読めるので、仮に性欲を抱いていたとしても表に出ることはないので不快には思わない。

だから、ドラマでハッキリ「恋している」ような脚本に辟易してしまったのだ。

 

話の流れを変えず設定を変えて面白味を出す方式もあるけれど、その根底をひっくり返すような変更を許してしまうのはどうかと思わずにはいられない一件でした。